表示:
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傾き角: $\theta$ = 5 度
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プレートの厚さ/半径:
$d/r$ = 0.01
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主慣性モーメントの比: $I_Z/I_X =$ |
それから一週間もたたないうちに、僕がカフェテリアにいると、一人の男がふ ざけて皿を投げあ げている。空中の皿を見ていると、ぐるぐる回りながらぐ らぐらゆれていた。そして皿についているコ ーネルルの赤いメダルの印がぐ るぐる回るのが見えた。どうも見たところこのメダルの回る速度 は明らかに 皿がぐらぐらするのより速い。僕は他に何もすることがなかったから、まわっている皿の運動を計算しはじめ た。角度が非常に 少ないときは、メダルの回転速度はぐらぐらの率よりも倍 くらい速い。二対一の速さだ。ただし、 この答はたいへん複雑な方程式から 出したものだ。それから僕はさらに「これが何で二対一なのか を見るのに、 「力」とか「力学」とかの点から考えれば、もっと基本的な見方ができるので はない か?」と考えた。
どうやって出したのかは思い出せないが、僕は結局質点の運動と、加速度全部 がどういう風にバ ランスして二対一になるのかということを計算して出し た。 (文献1. 引用終り)
角度$\theta$は、回転軸と皿の対称軸($Z$軸)のズレの角度で、 この角度がゼロでない時には回転軸がぶれてWobbling(グラグラ運動)が起こる。
スライダーを動かすことにより、ズレの角度 $\theta$ と 皿の厚さ $d$ を変えることができる。
また、表示ボタンによって、
$X$軸と$Y$軸の軌跡を見ると、薄い皿のズレ角が小さな回転運動では、 これらの軸の先端は、 2点で交わる互いに逆向きに傾いた円周上を回転 していることが分かる(実際には、円自体もゆっくり回転している)。 皿を構成している各質点も、同様の運動をしている。 すなわち、皿の各微小部分も空間に固定された円周上を運動し、 90度離れた部分の運動する円周とは2点で交わっているのである。
空中での皿の運動は 外力のないオイラー方程式に従う。 それを解くことによって、 $\theta$ が小さい時、 回転軸のブレの回転角速度 $\Omega$ は 対称軸周りの皿の回転角速度 $\omega$ の2倍であることが確かめられる。 ファインマンの本の中の記述とは逆で、 ブレの回転のほうが2倍速い。
この2倍という数字は、対称軸( $Z$ 軸)周りの慣性モーメント $I_Z$ と、 それに垂直な軸の周りの慣性モーメント $I_X$ の比で、 一般に回転対称な物体を投げ上げたときには、 回転軸の対称軸からズレが小さい時、$\Omega$と$\omega$の比は \[ {\Omega\over\omega} \approx {I_Z\over I_X} \] で与えられる。
薄い円盤ではこの比は2だが、 円盤が厚くなるにつれてこの比は小さくなる。
[参考文献]