侵入パーコレーション

Invasion Percolation

Time = 0
10

Random Numbers at Invaded Sites

説明:

侵入パーコレーションは、多孔媒質中を流体が浸透してゆく様子をモデ ル化したもの。

各格子点上に0~1の乱数を割り当てて、その格子点への流体の侵入に対 する抵抗力(侵入しにくさ)とする。

例えば、左辺から流体が侵入する状況を考える。

まず最初、最左辺の縦一列中のうち最 も弱い格子点(最も小さな乱数の格子点)に、流体が最初に侵入する。

次に、未侵入の最左辺の格子点と、すでに侵入された格子点に接してい る未侵入の格子点のうちで、最も弱い格子点に流体が侵入する。

このように、流体に侵入された格子点に接している未侵入の格 子点(境界格子点)のうちの最も弱い格子点に、次々と流体が侵入してゆく。

こうして、流体に侵入された格子点が最右辺に到達したとき、 最左辺から最右辺に流体の流路がつながり、 流体がパーコレーション(浸透)する。

侵入パーコレーションの興味深い特徴の一つに、 侵入された格子点に乱数の上限がパーコレーションのしきい値 に一致していることがある。

いつも最小の乱数のサイトを選ぶので、 侵入格子点の乱数を次々とプロットしてゆくと、 最初のうちは小さな値の格子点が選ばれるが、 そのたびに流体が進入してその格子点は境界格子点ではなくなるので、 徐々に選ばれる境界格子点の乱数の値は大きくなってゆく。 しかし、新しく侵入された格子点の隣接格子点が新たに境界に 加わるので、また、小さな値の格子点が現れる。

こうして、新たな侵入格子点の乱数の値は上下を繰り返すが、 その上限はパーコレーションしきい値に一致していることが示される。

実際、上のシミュレーションでも侵入格子点の乱数をプロットしてみる と、横線で示したしきい値(0.5927・・・)が選ばれた格子点の乱数の 上限にほぼ一致している。

参考文献:
D Wilkinson and JF Wilemsen, J. Phys. A: Math. Gen. 16 (1983) 3365.
"Invasion Percolation : a new form of percolation theory"

[その他のウェブシミュレーター]

by Hiizu Nakanishi (2023/6/8)